• 掛け軸ができるまで

    掛け軸の作成は時間がかかる

    掛け軸が出来るまでの工程を、ご紹介したいと思います。最初は、形式を決定していきます。 掛け軸の形式は基本的には、自由なものを選択していいのです。最初に作品を 引き立たせることを考えなければなりません。基本的な形式は、先人の試行錯誤をしながら、 その時代の折り合いを考え、形を作ってきたものとなっているので、 バランスは計り知れないものです。作品を茶会で使用するのであれば、茶掛けにし、 通常の床の間にかけるのであれば、床の間用に。仏画であるのなら仏用に仕上げ、 中国の図柄にするのであれば、中国形式にするというのが基本となりますが、 最優先するのは、人の気持ちです。次に、裂地を選んで行きます。

    スタイルが決定したのであれば、裂地を決定していきます。化繊から本金襴と、 様々で豊富な種類があるのです。着物の生地として使用できる物もあるのですが、 掛け軸専用の裂地は、撚りを弱くし、巻きやすいものとなっていることが特徴なのです。 金額も上下で、100倍になってしまうこともあります。ですが、大体の作品のレベルで選ぶ といいと思います。裂地は人間で言えばお出かけようのお洒落着のようなものです。

    立派であれば、より気品が漂ってくるのです。次は肌裏打ちです。 作品と裂地を、1回目の裏打ちの工程に移します。美濃紙を使用する事が多くあります。 この紙は、楮紙でとても細かく、長く丈夫となっているので、作品の裂地との相性が とてもいいとされているのです。そして、増し裏打ちを行います。肌裏が終了したのであれば、 裂地と作品を増し裏打ちをする工程に移します。厚みをつけたり、調節を加える 裏打ちとなっていて、吉野産のものは、美須紙を使用する事が多くあります。

    掛け軸ができるまで
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バランスを調和


奈良県の吉野の紙は他の紙と違って、通常ふきあげたのちに、一度重ね 脱水してから張りをしますが、美須紙は、そのまま行えるので効率的です。 脱水をしないので、紙は少しザラザラした状態です。もう1つの特徴は、紙に白土を 混ぜることで、透けが消えたり、柔らかい紙になる点です。柔軟がとても 効くものなので、そういったことを利用し、肌裏打ちを施した本紙や各部の列に それぞれの厚さと伸び縮みといったバランスを調和していきます。


そして、切り継ぎを行います。其の野地に、上裏打ちを行います。作品が大きければ、 何度も行いますが、通常は3回でいいのです。ひきしまった滑らかな紙質を 作成する事が出来ます。そして、仕上げとなりますが、一週間以上経過したのちに、 一度 はがして裏擦りを行ったのちに、もう1度張ります。ここでの裏擦りの行為は、 裏の滑りをよくしつやを だし、くせを緩和し、柔らかく仕上げるためのものです。このように掛け軸にはとてつもない時間が見えない ところでかけられているのです。ですので高額になってしまうのもうなずけますよね。逆に安い物はそれだけ時間が かかっていない、ということになります。この違いから簡単に初心者でも判断できるでしょう。こういった 簡単なポイントを押さえていくと、さまざまな点から掛け軸を判断できるようになります。